決算確認のポイント6点 ~業績・バリュエーション・テクニカル~
2023年1月23日、週明けから日経平均は順調に上昇しました。先週の日銀政策発表というイベントを終え、短期の売りポジションの買戻しでしょうか。本格的な買いが入ったとは、まだ言えない気がします。
イベントとしては明日から、12月期(や3月期)決算企業の決算発表が始まります。明日は、日本電産などです。いつも日本電産は決算が早く、電気機器メーカーの足元の業績のマイルストーンのような位置づけにもなっているように思います。
その決算ですが、改めてどういったところに注意すべきかまとめてみました。
①前年からの変動率
前年同時期からどれくらい増減があったかです。これは決算短信で確認できます。決算短信では原則前年比を%で記載しているので、増減が一目でわかるようになっています。業界やマクロ環境にもよりますが、グロース企業の場合、10%(二桁)以上増加していると、高成長と言えるのではないかと思います。ただし、直近は20年や21年にコロナウイルスの影響で特段と業績が悪かったケースもあるので、成長か(コロナによる悪影響からの)復調かはチェックが必要であると思います。
②前四半期からの変動率
前四半期からどれくらい増減があったかです。これは決算短信では一目では確認できません。過去の決算短信を並べてQ3-Q2やQ2-Q1などの差を計算することで確認できます。企業によっては、決算説明資料で記載している企業もあります。これは、前四半期と比べてどれだけ売上が伸びているか確認することで、成長性を確認するものです。なお、「株探」様のサイトでは個別企業の決算タブから確認できるようになっています。ただし、企業によっては、そもそもQ4に売上が多い傾向があるなどの季節性がある企業もあります。
③通期見通しに対する進捗率
通期見通しに対して、売上や利益がどれくらい進捗しているかです。例えばQ1に進捗が25%を超えていると、順調とみなせます。ただし、順調な場合でも注意が必要な点がいくつかあります。
①売上や利益の進捗がかなり良好で、同時に上方修正が発表されなかった場合、上方修正されなかったことに悲観されて売られるケースもあり得ます。例えば、Q2で進捗率が75%であったにもかかわらず、上方修正されなければ、Q3・Q4で残りの25%しか積みあがらないという発表ともとらえられるため、何か業績に悪影響の見通しがあるのかと思われる可能性があるものです。
②利益が100%を超えた場合(本決算除く)、残りの四半期で費用を使うことが想定されます。2Qで100%を超えたからと言って、本決算時に利益が200%に達するとは限らない点には注意です。
④市場予想(証券会社が出す予想)
これは、すべての企業というわけではありませんが、一部の企業では証券会社が業績見通しを(企業の発表とは別に)出していることがあります。この予想値と比較して、良し悪しを判断するというものです。企業が出す見通しは、(下方修正を避けるため)保守的に設定する可能性があります。一方で証券会社は、基本的に入手した情報から、客観的に見通しを出されると思います。よって、企業が自ら出す見通しと比較すると良いが、証券会社の予想には至らない場合、ネガティブな反応をする可能性があります。
⑤バリュエーション
PER、PBRといった指標です。いくら好決算であったとしても、PERやPBRでみてあまりにも割高であれば、これ以上の上昇は望めないと売られる可能性もあります。もちろん、グロース市場の人気株で、バリュエーション無視で取引されているケースもありますが、指標として見ておいても良いと思います。
⑥テクニカル指標
RSIやMACDなどのテクニカル指標です。決算発表までにすでに大きく上昇していた場合、過熱感から売られる可能性もあります。数日間の日足を見るでもよいですし、過熱感がないかはチェックしてよいと思います。
私が、決算発表時に見ている(同時に確認している)ポイントを列挙してみました。もちろん、これ以上に詳細に確認されている方もたくさんいらっしゃると思います。もし、決算について何を見てよいかわからない方は、上記についてまずはチェックされてみてはいかがでしょうか。これらがすべてではありませんが、好決算なのに売られた、決算は良く見えなかったが買われた理由がわかると、次の自分のアクションの手助けにもなるのではないかなと思います。
明日は、上記でも書いた日本電産の決算をまとめようと思っています。もしよろしければ、ご覧下さい。
最後までご高覧いただき、ありがとうございました。